「モチデキマース」シリーズ
Mochi dekimasu Series
“餅は膨らむ”。そんな常識を発想の転換による驚きの方法で乗り越え、誕生した「モチデキマース」。和菓子だけではなく洋菓子、街のパン屋さんにも使っていただき、多くの人に愛される“もちもち食感”を生み出しています。

動画
始まりは「東日本大震災」の夜
「モチデキマース」シリーズ開発のきっかけは2011年3月に起きた東日本大震災。営業所のある東京都・上野を訪れるために羽田空港に降り立った先代社長は、声高に「エコ」が叫ばれ、計画停電により真っ暗になった街を目の当たりにしました。
そこで、先代社長は「フードエコ」を製品開発のコンセプトに掲げます。2015年に定められたSDGsに先だって、廃棄ロス削減に向けて保存料や老化防止剤を使わずに長持ちさせることと製造工程での人件費・光熱費・原料費のコストダウンを目標に設定し、動き始めたのです。
そんな折り、営業部はお得意様から“餡餅パイの製造過程で、加熱した際に餅が膨らむためパイがパンクしてしまう”という相談を受けていました。実際に、餅は加熱時の扱いが難しいことに加えて、時間経過とともにでんぷんの性質が変化することで老化してしまう(保存が難しい)ために生産性が悪く、フードロスが多い原材料でした。
この課題を解決すべく、のちの「モチデキマース」へと繋がる“パンクしない餅作り”がスタートしていったのです。


立ちはだかったのは「常識」
ところが、プロジェクトが始まってすぐに開発チームは難しい問題に直面します。
“膨らまない餅なんて作れない”
加熱した餅が膨らむのは、餅の主成分であるでんぷん(アミロースとアミロペクチン)に含まれる水分が熱によって水蒸気となり、体積が膨張するためです。つまり餅は餅である以上、膨らむことを避けられないのです。
この開発プロジェクトを根幹から揺るがす事態に、チーム全員が普通のやり方では成功しないことを自覚しました。そんななか、開発チームのメンバーたちは“加熱しても膨らまない餅”ではなく、“加熱することで餅になる原料”を作ればいいのではないか――というアイデアへと辿り着きます。この大胆な発想の転換により、開発チームは当初は不可能と思われた“膨らまない餅”完成への手ごたえを得たのです。
その後、各原料の配合に関する緻密な計算や温度のコントロールなど、数多くの試行錯誤をくり返し、遂に「モチデキマース」が誕生しました。
“もちもち食感”は「新しい定番」に
従来、求肥や餅は、作る際に炊いたり蒸したりする必要があるため、専用の設備がない洋菓子屋さんやパン屋さんが扱うのが難しい現状がありました。しかし「モチデキマース」は専用の設備を必要とせず、オーブンで生地と一緒に焼きあげるだけで簡単に使うことができるため、開発後は和菓子に留まらない広がりを見せていくことになります。
最初は「邪道だ」という声もありましたが、“もちもち食感”が世の中で人気になっていくにつれて、手軽に“もちもち食感”を楽しめるようになる「モチデキマース」は、和菓子屋さんだけではなく洋菓子屋さんや町のパン屋さんにも広く受け入れられるようになっていきました。
今では“もちもち食感”は定番となり、「モチデキマース」シリーズも定番の「求肥シートデキマース」や「モチデキマース(パイ用/Tパン用)」他、クッキーなどの日持ち菓子向けにもちもち食感が長く持続する「モチデキマースLL」など、お客様からの要望や用途に応じて改良や調整を行い、幅広いシリーズ展開をしています。
用途
パン
噛むたびに幸せ広がる、もちもち食感のパンはいかがでしょうか。
ロールケーキ
スポンジともちもち食感の相性抜群です。
クッキー
しっとり、もっちり食感が新しくおすすめです。